<TNTの製造で排出される赤水廃液の生物学的処理>

 地雷や砲弾などの火薬の主成分として幅広く使用されている2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)は、o-ニトロトルエンを二段階に硝化することによって生成します。しかしその際に、未反応の ジニトロトルエンやトリニトロトルエンの異性体も生成します。 そこで、最も一般的な亜硫酸ナトリウム水溶液を用いたセライト法に よりTNTの精製を行います。セライト法により非対称TNTの反応活性な ニトロ基は、スルホン酸ナトリウムに置換され、水溶性のスルホン酸塩に なるため容易に除去されます。また、ジニトロトルエンスルホン酸塩溶液は 特有の赤い色を示し、これらはTNTの製造とともに排出される赤水廃液となるため、様々な処理方法が検討されています。

 赤水廃液は焼却により処理されていますが、環境への負荷を考慮すると必ずしも最良な方法とはいえません。そこで、本研究室は中国化薬株式会社と共同で赤水廃液に対する新たな処理方法としての生物学的処理に取り組んでいます。現在、TNTを生分解可能なシュードモナス属細菌TM15株を用いた赤水処理、および汚泥を用いた馴養培養による赤水処理について研究を進めています。