大学院では「生体力学」(第2クォーター 金曜日,8:50-12:00)や「計算バイオメカニクス演習」(第1クォーター 火曜日,10:20-12:00, 13:00-14:30)の2テーマ,「ライフイノベーション概論」(第4クォーター 水曜日)の2回分を担当しています.

北九州市内の4大学院が連携した医歯工連携教育プログラムおよび九州歯科大学と連携したプログラムにおいて「生体力学」を担当しています(研究科HP参照).

工学部(戸畑キャンパス)では「物理学IIA」(1年生,後期),「数値解析法」の1/3(有限要素法.3年生,第2クォーター),「生体工学概論」の1/4(生体の材料力学.3年生,第1クォーター)を担当しています.

 

「生体力学」の内容:

・目的・概要 生体は細胞・組織・器官といった階層的構造を有し、機能や挙動の一部は一種の力学的現象である。また、生体は環境の変化に適応する組成・構造,機能の発現機構を有する。このような生体現象と力学的因子との関係の解明は工学的観点から生体の現象を理解する第一歩となる。本講義では生体に対する適切な力学的アプローチの習得のため、固体の力学の立場から生体の構造、機能と応答について力学的に評価・解析する方法論を教授する。

・授業計画

1. バイオメカニクスの概要と関連分野 (第1回)             

2. ニュートン力学と筋骨格系の力学        

2.1 ニュートン力学の基礎と無重量状態(第2回)             

2.2 静止状態で筋骨格系に働く力(第3回)       

3. 材料力学と骨や歯の力学         

3.1 材料力学の基礎(応力,ひずみ,弾性,材料強度)(第4回)             

3.2 骨や歯の力学特性1(第5回)        

3.3 骨や歯の力学特性2(第6回)        

4. 連続体力学と生体組織の力学            

4.1 粘弾性理論の基礎(第7回)          

4.2 生体軟組織の粘弾性特性 (第8回)          

4.3 骨格筋の力学特性(第9回)          

4.4 連続体力学の基礎(第10回)         

4.5 心臓・血管の力学特性1(第11回)          

4.6 心臓・血管の力学特性2(第12回)          

4.7 生体組織の動的力学特性(第13回)          

5. 生体軟組織と細胞の材料力学試験と数値シミュレーション            

5.1 組織・細胞の材料力学試験と有限要素解析1(第14回)         

5.2 組織・細胞の材料力学試験と有限要素解析2(第15回)         

・教科書・参考書・資料 山田宏著「力学の基礎とバイオメカニクス」(コロナ社)を教科書とする。補足資料は適宜配布し、参考書は講義で紹介する。参考書は講義で紹介する。

 

「計算バイオメカニクス演習」の内容(項1と項2を担当):

生体で起こる様々な力学現象を初期値・境界値問題にして計算機上で解くという一連の手順を基本的な演習を通して習得する。すなわち、有限要素法や差分法といった解析手法に基づいて、材料力学・流体力学・機械力学・熱力学における簡単な境界値問題を解く。その際、適宜、著名な汎用ソフトウェア(Abaqus, ANSYS, MATLAB等)を活用する。

1. 材料力学分野における数値解析(力学試験結果に基づいて柔らかい弾性材料の力学特性を同定する。)

2. 材料力学分野における数値解析(血管の変形と応力分布に関する数値解析を行う。)         

3. 流体力学分野における数値解析(血管を模擬した円管や狭窄部を含む円管内の流れの数値解析を行う。)

4. 流体力学分野における数値解析(血管を模擬した円管や狭窄部を含む円管内の流れの数値解析を行う。)

5. 機械力学分野における数値解析(剛体振り子の運動解析を例に数値解析の仕組みを理解する。)             

6. 機械力学分野における数値解析(5で学んだことを基にして人関節の運動解析を行う。)            

7. 熱力学分野における数値解析(熱伝導問題をプログラムを自作し解くとともに簡単な数値解析の仕組みを理解する。)           

8. 分子動力学分野における数値解析(経験的ポテンシャルを用いて3体間の運動に関する数値解析を行う。)

・教科書・参考書・資料 教科書は用いない。参考書は授業の中で紹介する。資料は各演習で適宜配布する。