生体機能応用工学専攻 1年
第4クォーター 2単位

担当教員  花本 剛士

目的・概要

電気エネルギーは,容易に他のエネルギーに変換できることや,応答速度が速く出力制御が可能であるなど人類にとって必要不可欠なエネルギーとなっている。パワーエレクトロニクスは,電力用半導体素子を用いて電力を制御する技術であり,電力の有効利用と高精度な制御とが同時に実現できるため様々な分野で活用されている。本講義では,電力変換技術や電動機駆動制御などのパワーエレクトロニクス応用技術について学ぶ。さらに具体例として今後の発展・普及が期待される電気自動車の動向についても説明する。

授業計画

  1. パワーエレクトロニクス概要
    • 本講義の概要,パワーエレクトロニクスの歴史,基本項目等の説明を行う
  2. パワ-エレクトロニクス用ソフトウェアの取り扱い方
    • 本講義で使用するソフトウェアの使用方法についての説明と例題を用いた演習
  3. 電力用半導体素子
    • 電力用半導体素子について説明する
  4. DC-DC変換 原理と降圧コンバータ
    • DC-DC変換の原理とPWM,降圧コンバータの付いての説明を行う
  5. DC-DC変換 昇圧コンバータ,昇降圧コンバータ
    • DC-DC変換装置として使用されている他の代表的なコンバータについて説明を行う
  6. DC-DC変換 演習
    • DC-DC変換装置モデルをMATLAB/Simulinkで作成し動作を確認する
  7. DC-AC変換(単相インバータ)
    • DC-AC変換装置の基本動作と単相インバータについての説明を行う
  8. DC-AC変換(三相PWMインバータ)
    • 3相インバータの原理と3相PWMインバータについての説明を行う
  9. DC-AC変換 演習
    • DC-AC変換装置モデルをMATLAB/Simulinkで作成し動作を確認する
  10. 電動機の種類と駆動原理
    • パワーエレクトロニクスの代表的な応用分野である電動機について種類や駆動原理の説明を行う
  11. 座標変換と交流電動機の数式モデル
    • 3相電動機を制御するために用いられる座標変換と電動機モデルについての説明を行う
  12. 制御系設計とDC-DC変換器のフィードバック制御
    • フィードバック制御と制御対象として電力変換器としてDC-DCコンバータを取り上げる
  13. 電動機駆動制御への応用(ベクトル制御)
    • 電動機制御の例として3相永久磁石電動機の速度制御について説明を行う
  14. オブザーバによるトルク・速度制御手法
    • 電動機制御の例としてオブザーバを用いた制御について説明を行う
  15. その他のトピックス
    • パワーエレクトロニクスのその他の応用分野を説明する
  16. 制御関連演習及びまとめ
    • 電動機制御の演習と講義のまとめを行う

成績評価方法

「受講態度」,「課題提出結果」によって評価する

授業外学習(予習・復習)の指示

配付資料を事前にダウンロードし、必ず一読した上で出席すること
講義中に説明した回路を各自MATLAB/Simulink,PSIM,scilabを用いて確認し、理解に努めること
準備学修(予習)として、週に4時間確保すること。

教科書・参考書・資料

教科書は使用せず,授業資料はMoodle上にて配布する。

主な参考書は以下の通り

  1. 小山 純,他著,最新パワーエレクトロニクス入門  (朝倉書店)
  2. 野波健蔵編著、「MATLABによる制御理論の基礎」東京電機大学出版局
  3. 野波健蔵編著、「MATLABによる制御系設計」東京電機大学出版局
  4. 電気学会編,「交流電動機可変速駆動の基礎と応用」コロナ社
  5. Claude Gomez, “Engineering and Scientific computing with Scilab”, Birkhauser
  6. 堀 洋一、大西公平共著、「制御工学の基礎」丸善株式会社
  7. 堀 洋一、大西公平共著、「応用制御工学」丸善株式会社
  8. 美多 勉、他著、「基礎ディジタル制御」コロナ社