1. 研究目的
少子高齢化の進行とともに,実質的な労働人口は減少傾向にあるため,昨今では外国人労働者や女性による就業が見直されてきている.また,高度な溶接技能により生産性を維持し,高度経済成長を支えてきた熟練溶接技能者の技能伝承も社会的な問題として取り上げられてきている.そのためにモノづくりの根幹となる溶接士の技能伝承および溶接の自動化が求められている.本研究では,溶接作業の数値化による溶接士の技能伝承および自律制御式ロボット溶接の根幹となる非接触式制御の技術革新を図り,プラント設備の溶接構造物の製造技術を維持および向上させることを目的とする.
2. 研究課題
溶接品質は,溶接前の開先検査,溶接士の技量確認や溶接後の非破壊検査などによって,溶接作業プロセスの妥当性を確認することで担保されているが,溶接作業そのものは溶接士の技量や経験に委ねられており,溶接作業の数値化による溶接の妥当性を評価することができないため,技能伝承およびロボット溶接の適用にはその技術が必要である.また,ロボット溶接では,接触式センサによる制御が行われ,溶接前のティーチングにかなりの時間が掛かってしまうため,非接触式センサによる制御を適用することでティーチング時間を最小化する技術が必要である.
3. 研究手法
溶接前と溶接後の溶接形状を非接触式センサによって数値化することで,溶接トーチの狙い位置を定め,溶接後の出来栄えを評価する.また,溶接時の溶接トーチ軌道や溶融池の状態をモーションキャプチャおよび高速度カメラによって確認し,それらが溶接品質にどのような影響をおよぼすのかを解析する.さらに,自律制御式ロボット溶接に必要な溶接位置および非接触式センサ軌道の認識技術を確立する.
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